ここではGaiaデータをTOPCATを用いて解析する方法をプレアデス星団の星の検索結果を例にして簡単に説明します(Gaia DR1のデータ取得方法参照)。 TOPCATはTool for OPerations on Catalogues And Tablesの頭文字をとった名前で、 イギリスのBristol大学で開発された主に天文学用のデータ解析・可視化ソフトです。 こちらのページの下方にあるDownloadsのところからダウンロードできます。普通はtopcat-liteで十分だと思います。
なおTOPCATを使うためにはJavaが必要ですので、事前にインストールしておいて下さい。
  • 先にTOPCATを起動しておきます。
  • 検索画面で右側にあるTOPCATにデータを送るボタンを押します。[Send to SAMP]と表示されます。
  • まず最初の1166個の星のデータを使います。
  • Security関係の確認が出るので[yes]を押します。
  • TOPCATにデータが送られます。
  • 年周視差(距離の逆数に対応)の分布を見るため、1次元の分布を棒グラフで表すパネルを選択します。
  • X軸としてparallax(年周視差)を選択します。
  • 横軸をミリ秒角(mas)単位のparallaxとした星の分布が表示されます。
  • グラフをクリックするとドラッグで動かせます。またスクロールすると拡大・縮小ができます。少しドラッグして拡大すると左図のようになります。
  • まずparallaxが0の近くに多くの星が分布していることがわかります。parallaxは距離の逆数を表しますから、これらの星はプレアデス星団と重なって見える遠方の星だとわかります。
  • 次に、parallaxが7-8masぐらいのところに星が集まっていることがわかります。これがプレアデス星団です。距離に直すとおよそ130pc(パーセク)になります。ここで1pcは天文学でよく使われる距離の単位で、年周視差(parallax)が1秒角になる距離であり約3.26光年(およそ30兆km)です。
  • 次に固有運動の分布を見るために2次元の分布図のパネルを選びます。
  • 固有運動とは天球上での星の相対位置の変化率(視線に垂直な運動速度を表す)です。
  • X軸としてpmra(赤経方向の位置変化率)を選択し、Y軸としてpmdec(赤緯方向の位置変化率)を選択します。
  • 1年当たりミリ秒角(mas/year)を単位とした固有運動の角速度を軸として星の分布が表示されます。
  • 少しドラッグして拡大すると左図のようになります。
  • まずX=Y=0の近くに多くの星が分布していることがわかります。これらの星は遠方にあるために見かけの位置の変化率が小さく見えている星です。
  • 次に、pmra=20mas/year, pmdec=-45mas/yearぐらいのところに星が集まっていることがわかります。これがプレアデス星団です。
  • プレアデス星団の星に対しては固有運動はおよそ同じであることがわかるので、それを利用して星団の星の絞り込みを行います。(Gaia DR1のデータ取得方法参照)
  • 検索画面で絞り込みを行った後の135個の星のデータをTOPCATに送るボタンを押します。
  • 複数のデータセットを続けてTOPCATに送り、それぞれを解析することも可能です。
  • TOPCATで新しく送ったデータセット(135個の星)を選び、 1次元の分布を棒グラフで表すパネルを選択してparallaxの分布を見ます(左図)。
  • parallaxが7-8masぐらいのところにほとんどの星が集まっていることがわかります。Gaia DR1のparallaxの誤差は0.3mas程度と推定されているので、parallaxが6以下や9以上の星はプレアデス星団の星ではなく、たまたま重なってかつ同程度の固有運動の角速度を持っている星だと考えられます。
  • 検索画面でparallaxが6-9の範囲で絞り込みを行った後、星のデータ(130個)をTOPCATに送ります。
  • 3次元の分布図のパネルを選択します。
  • X軸をra(赤経)、Z軸をdec(赤緯)、Y軸をparallax(年周視差、距離の逆数)として3次元の分布図を描きます(左図)。
  • これがプレアデス星団の姿です。クリックしてドラッグするといろいろな方向から見ることができます。またスクロールで拡大・縮小もできます。
  • 上部のExportボタンを押すと、プロットした図をセーブできます。ファイルをセーブする場所、タイプ(jpeg, gif, epsなど)、ファイル名(拡張子付きで指定)を決定してください。
  • TOPCATのメインページの(1)のボタンを押すとデータセットをセーブすることができます。
  • (2)のボタンを押すと個々の星のデータを一覧表としてみることができます。
  • (3)のボタンをおすとそれぞれのパラメーター(位置や年周視差や固有運動速度など)に対して、 平均値や標準偏差などを見ることができます。
  • 他にも様々な機能がありますので、いろいろ使ってみてください。
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