公共交通機関

イタリアの公共交通機関と言えば、国鉄(FS)とバス(Autobus)である。 地下鉄(Metro)は、Roma、Milano、Napoli にあるが、Firenze にはない。 また、国鉄は頻度があまり高くないので市内交通にはほとんど使えない。 そこで、市内移動にはほとんどバスのお世話になる。

イタリアでバスに乗るには、まず切符(biglietto)を買う。そして、 バスに乗車したら、刻印機に差し込んで、日付と時刻を刻印する。 この時刻から60分間(Roma では、地下鉄にも一回だけなら乗れて75分間と もっとお得)乗車できる。この時間内なら乗り換え自由である。 普段は検札はないが、時々検札官が乗り込んできて、切符をチェックする。 このとき、有効な(刻印済の)切符を持っていないと、多額の罰金を取られる。 滞在中に毎日のように乗った経験からは、検札の頻度はそこそこ高く、明らかに まじめに切符を買った方が得である。もちろんそうでなければ、この制度は 機能しないが。切符は中央駅前のバス乗り場では、自動販売機や案内所兼切符売り場 もあるが、他の所ではタバコ屋さんで買う。京都の市バス回数券売り場の 感覚と似ている。乗車前に買っておかなければならないのがめんどうだが、 切符代は、1500リラ(約80円)でかなり安く感じる(特に Roma)。 普段は、5800リラの4回使える切符(Multipo)を買っていた。 たいして割引にはならないが、切符を買う手間が少し省ける。 空港と中央駅を結ぶ路線(62番)もあり、荷物が少なければ、 タクシーや空港バスよりはるかに安くてお得。

バスを利用する上で一番問題なのは、日本と違ってバス停の案内などが 全くない点。降車するには、バス停到着前にちゃんと風景をみて、 降車ボタンを押さなければいけない。逆にバス停の名前はほとんど必要なく、 滞在先の最寄りバス停名は最後まで覚えずに終わってしまった。 Arcetri 天文台へ行くには、11番のバスがわかりやすい。中央駅前または、 Santa Maria Novella 教会前のバス停から乗って、Arno 川を渡り、Porta Romana を過ぎると坂道になる。坂道に入って2番目のバス停(右折直後に停まる)で 降りる。ここから、元の坂道を上り詰め、警察の前で左折すると天文台の 入り口の門が見える。門から入って坂を上り詰めると Arcetri 天文台である。 同じ敷地内にある下の方の建物は Firenze Univ. である。12番や13番の バスを使うと歩く距離が少し短くなるが、裏門にでるため裏門の鍵が必要。 12番と13番は逆回りのバスで中央駅と Michelangelo 広場を結ぶ観光路線 なので、天文台に行かなくても使う人は多いだろう。 11番を使う上で注意点は、帰りのバスは中央駅を経由しない点である。 Firenze 中心部は一方通行が多いのでこういうことがよくある。 ただ、上記のようにバスは乗り換えが自由なので、乗り間違えたり降り損ねた 場合には、降りて反対方向行きのバスで戻ればいい。しかし、あまり あせって一方通行のところで降りると、反対方向のバス停が見つからない 可能性もあるので注意。

他の町へ行くには、郊外バスか国鉄を使う。 他の所に書いたように、近年イタリア国鉄の 運行は非常に改善されていて、大体は10分程度までの遅れで運行されていて、 充分使える。また駅間が長いので、平均速度が結構速くなかなか快適だった。 例えば、Pisa や Siena までは1時間強。それぞれ約1時間ごとにある Pisa 行きは各駅停車と準急があるので注意。準急は運賃のみで乗れるが 日本の特急(または新快速)くらいの平均速度だと思う。 国鉄も乗車前に切符を買うが、改札というものは存在しないので、 切符なしでもホームには自由に入れる。 実際、中央駅の18番線は自由通路のように使われている。 そのかわり、乗車前にはホームにある刻印機で日時を刻印する。 これをしないと切符が有効にならないので注意。車内検札はほぼ確実に来る。 また、ほとんどの列車には一等と二等の車両があるので間違えないように。 普段乗るには二等で充分と思う。 切符は駅の窓口の他、自動販売機でも買える。駅の窓口はほとんど英語が 通じないので、自動販売機(英語表示もできる)の方が便利なことも多い。 しかし、注意しなければならないのは、特急列車を使うとき。 特急に乗車するには特急料金と(列車によれば)指定料金を支払う必要がある。 自動販売機では、列車を指定して買うようになっているので、当然 特急列車を指定すれば、特急料金と指定料金込のお金を取られる。 なのに、座席指定はしてくれない。座席指定はあらためて窓口へ行く必要がある。

Roma までは、約300Km あるので、普通はユーロスターを使う。 この列車は全席指定なので、事前に駅の窓口で席の指定を受ける必要がある。 私が乗ったときはイースターだったので、非常に込んでいて大変だった。 結局二等車はとれず、一等席をやっとの思いで確保した。 この区間は、準急もそこそこ走っていて、使えないことはない。 帰りに使ったのだが、少なくとも、東京-名古屋間を在来線で乗るよりずっと 快適だった。ユーロスターの倍の時間がかかるが。 San Gimignano へ行くには、Poggibonsi という町からバスを使った。 切符は駅の Bar で買う。往復買っておくと便利。乗り方は普通の バスと同じだった。


戻る